インボイスの2割特例と3割特例
インボイス登録で課税事業者になると、消費税の納税が始まります。その負担を大きく抑えるのが、2割特例と3割特例です。
これらを使うと、複雑な計算なしで、少ない納税額で済ませられます。
この記事では、2割特例と3割特例を、対象・計算方法・使える期間の順に整理します。消費税の申告全体は 消費税の納税義務はいつから発生する で解説しています。
012割特例とは
まず、2割特例です。
2割特例は、インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になった人が使える負担軽減措置です。納付する消費税額を、受け取った消費税(売上税額)の2割にできます。
たとえば、売上にかかる消費税が50万円なら、納めるのはその2割の10万円です。支払った消費税を集計する必要がなく、計算がとても簡単です。
022割特例の対象と期間
対象と期間を押さえます。
- 対象:インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者(適格請求書発行事業者)になった人。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える年などは対象外
- 期間:個人事業者は令和8年分(2026年分)の申告まで
もともと2割特例には期限があり、個人事業者は令和8年分の申告が最後になります。
033割特例とは(令和8年度改正で新設)
2割特例の後を引き継ぐ制度が新設されました。
令和8年度税制改正で、3割特例が設けられました。個人事業者の令和9年分・令和10年分の申告で、納付する消費税額を売上税額の3割にできます。
- 対象:個人事業者で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下などの要件を満たす人
- 期間:令和9年分・令和10年分
2割特例が終わっても、しばらくは3割特例で負担を抑えられる、という流れです。
04事前の届出はいらない
使い勝手のよいところです。
2割特例も3割特例も、事前の届出は必要ありません。確定申告のときに、適用するかどうかを選べます。
原則課税や簡易課税のように、あらかじめ届出書を出しておく必要がないため、その年の状況を見て有利な方を選べます。
05原則課税・簡易課税との比較
消費税の計算方法は、ほかにもあります。比べてみます。
- 原則課税:受け取った消費税 − 支払った消費税。実際の仕入れが多いと有利
- 簡易課税:売上税額 × みなし仕入率(業種で40〜90%)。基準期間の課税売上5,000万円以下で選択可(簡易課税制度とは)
- 2割特例・3割特例:売上税額の2割・3割。仕入れの集計が不要で最も簡単
経費(仕入れ)が少ない業種では、2割特例や3割特例が有利になりやすいです。一方、大きな設備投資をした年などは、原則課税で還付を受けられる場合もあります。
06どれを選ぶか
最後に、選び方の考え方です。
- 仕入れや経費が少ない(サービス業など)→ 2割特例・3割特例が有利になりやすい
- 高額な設備投資をした年 → 原則課税で還付になる場合がある
- 特例の期間が終わった後 → 簡易課税や原則課税を検討
特例は期間限定なので、終わった後にどうするかも見据えておくと安心です。免税・課税の判定は 免税事業者と課税事業者の違い で解説しています。
よくある質問
2割特例とは何ですか?
インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった人が、納付する消費税額を売上税額の2割にできる負担軽減措置です。支払った消費税を集計する必要がなく、計算が簡単です。個人事業者は令和8年分の申告まで使えます。
3割特例とは何ですか?
令和8年度税制改正で新設された措置です。個人事業者の令和9年分・令和10年分の申告で、納付する消費税額を売上税額の3割にできます。基準期間の課税売上高が1,000万円以下などの要件があります。
特例を使うのに届出は必要ですか?
必要ありません。2割特例も3割特例も、確定申告のときに適用するかどうかを選べます。事前に届出書を提出しておく必要はなく、その年の状況を見て判断できます。
簡易課税と2割特例はどちらが得ですか?
多くの場合、2割特例のほうが納税額を抑えられます。簡易課税は業種ごとのみなし仕入率(40〜90%)で計算しますが、2割特例は一律で売上税額の2割です。ただし業種や状況によるため、両方で試算するのが確実です。
特例が終わったらどうなりますか?
原則課税か簡易課税で計算することになります。特例は期間限定のため、終わった後にどの方法を使うかを見据えておくことが大切です。簡易課税を使うには事前の届出が必要です。
まとめ
2割特例と3割特例は、インボイス登録で課税事業者になった人の納税負担を大きく抑える措置です。2割特例は納付税額を売上税額の2割にでき、個人事業者は令和8年分の申告まで。その後は、新設された3割特例で令和9年分・令和10年分は3割にできます。
どちらも事前の届出が不要で、申告時に選べます。仕入れや経費が少ない業種では特に有利です。特例は期間限定なので、終わった後の計算方法まで見据えて活用しましょう。
税務の最終的な判断は、国税庁の公式情報や、税務署・税理士への確認に従ってください。