国民健康保険組合とは
国民健康保険には、市区町村が運営するもののほかに、業種ごとの「国民健康保険組合」があります。
所得が増えるほど保険料が上がる市区町村の国保に対し、国保組合の多くは保険料が定額です。この違いが、人によっては大きな差になります。
この記事では、国民健康保険組合を、市区町村の国保との違い・加入条件・損得の分かれ目の順に整理します。国保の基本は 個人事業主の国民健康保険の仕組み で解説しています。
01国民健康保険組合とは
まず、位置づけです。
国民健康保険組合(国保組合)は、同じ業種の個人事業主が集まって組織する公的医療保険です。国民健康保険の一種ですが、運営するのは市区町村ではなく業種ごとの組合です。
医師・歯科医師・薬剤師、建設業、美容業、飲食業、文芸美術など、業種ごとにさまざまな組合があります。
02市区町村の国保との違い
いちばんの違いは、保険料の決まり方です。
- 市区町村の国保:前年の所得と加入人数で計算(所得が増えると保険料も上がる)
- 国保組合:多くが定額(所得に関わらず一定)
このため、所得が高い人ほど国保組合が有利になり、所得が低い人は市区町村の国保のほうが安くなることがあります。市区町村の国保の計算は 国民健康保険料の計算と節約 で解説しています。
03加入には団体への加入が必要
ここが見落としやすい条件です。
国保組合に加入するには、その組合に加盟している業界団体の会員である必要があります。たとえば文芸美術国民健康保険組合なら、加盟団体(各種の作家協会やデザイナー協会など)に入会したうえで申し込みます。
団体には入会金や年会費がかかります。保険料を比べるときは、この団体の会費も含めて計算する必要があります。
04加入条件は組合ごとに厳格
もう一つ、重要な点です。
組合ごとに、対象となる業種や活動内容の条件が定められています。「その業種を職業として営んでいること」を証明する資料の提出が求められることも多く、審査があります。
たとえば文芸美術国保では、文芸・美術・著作活動に従事する個人事業主が対象で、作品や納品実績などで活動を確認されます。名乗るだけでは加入できません。
05損得の分かれ目
判断の目安です。
保険料が定額である以上、所得が高いほど有利、低いほど不利という関係になります。所得が低い時期に加入すると、市区町村の国保より高くなることがあります。
また、市区町村の国保には低所得世帯への軽減制度がありますが、定額の国保組合にはそうした仕組みがない場合があります。独立直後で所得が読めない時期は、慎重に比較しましょう。
06法人化したときの扱い
将来を見据えた注意点です。
多くの国保組合は「法人化していない個人事業主」を対象としています。法人化すると、原則として社会保険(協会けんぽなど)への加入義務が生じるため、国保組合を継続できない場合があります。
ただし、組合によっては法人化後も一定の条件で継続できる場合があります。法人化を検討しているなら、事前に組合へ確認しておきましょう。法人化と社会保険は 個人事業主の社会保険の全体像 で解説しています。
よくある質問
国民健康保険組合とは何ですか?
同じ業種の個人事業主が組織する公的医療保険です。国民健康保険の一種ですが、運営は市区町村ではなく業種ごとの組合が行います。医師・建設業・美容業・文芸美術など、さまざまな組合があります。
市区町村の国保と何が違いますか?
保険料の決まり方が違います。市区町村の国保は前年の所得と人数で計算されますが、国保組合の多くは所得に関わらず定額です。そのため、所得が高い人ほど国保組合が有利になります。
誰でも加入できますか?
できません。その組合に加盟している業界団体の会員であることが条件で、対象となる業種や活動内容の審査もあります。活動を証明する資料の提出を求められることも多く、名乗るだけでは加入できません。
保険料はどのくらい安くなりますか?
所得によります。定額のため、所得が高いほど有利になり、所得が低いと市区町村の国保のほうが安くなることもあります。また加盟団体の入会金・年会費もかかるため、総額で比較しましょう。
法人化しても続けられますか?
多くの組合は法人化していない個人事業主を対象としており、法人化すると継続できない場合があります。組合によっては条件付きで継続できることもあるため、法人化を検討する際は事前に組合へ確認しましょう。
まとめ
国民健康保険組合は、業種ごとの個人事業主が加入する公的医療保険です。多くが保険料定額のため、所得が高い人ほど市区町村の国保より有利になります。
ただし、加盟団体への入会(入会金・年会費)が必要で、業種や活動内容の審査もあります。所得が低い時期は市区町村の国保のほうが安くなることもあるため、団体の会費も含めた総額で比較しましょう。法人化を考えているなら、継続できるかの確認も必要です。
保険料や加入条件は組合ごとに異なり、年度で改定されます。正確な情報は各組合の公式情報でご確認ください。