少額減価償却資産の特例とは
10万円以上のものは、原則として減価償却で数年に分けて経費にします。ですが、青色申告なら、その手間を大きく省ける特例があります。
それが「少額減価償却資産の特例」です。使えば、その年の節税に直結します。
この記事では、少額減価償却資産の特例を、対象・上限・青色の要件の順に整理します。減価償却全体の地図は 減価償却とは|10万円以上の備品 で解説しています。
01特例の内容を知る
まず、何ができる特例かを押さえます。
青色申告をしている個人事業主は、取得価額が30万円未満の資産を、買って事業に使い始めた年に、全額を経費にできます。本来なら数年に分けるところを、その年に一度で落とせるということです。
パソコン、カメラ、机、ソフトウェアなど、事業で使う資産が幅広く対象になります。中古品も対象です。
02対象は「30万円未満」
金額の線引きが、この特例のポイントです。
- 取得価額が30万円未満の資産が対象
- 30万円以上のものは、通常の減価償却になる
取得価額に消費税を含めるかは、経理方式によります(税込経理なら税込、税抜経理なら税抜で判定)。たとえば税抜29万円のものは、税抜経理なら対象になります。
03上限は年間300万円
使いすぎには、上限があります。
この特例で一度に経費にできるのは、1年あたり合計300万円までです。30万円未満の資産をいくつも買って合計が300万円を超えた場合、超えた分はこの特例を使えません。
事業を始めた年など、事業期間が1年に満たない場合は、月割りで上限が計算されます。
04青色申告が条件
この特例には、大事な前提があります。
少額減価償却資産の特例を使えるのは、青色申告をしている個人事業主だけです。白色申告では使えません。
白色の場合は、10万円未満なら消耗品費、10万円以上20万円未満なら一括償却資産、それ以上は通常の減価償却で処理します。青色を選ぶメリットのひとつが、この特例です。青色の利点は 青色申告のメリット|65万円控除とは にまとめています。
05一括償却資産との違い
似た制度に「一括償却資産」があります。混同しやすいので整理します。
- 少額減価償却資産の特例:30万円未満、取得年に全額、青色のみ、年300万円まで
- 一括償却資産:20万円未満、3年で均等償却、青色・白色どちらでも、上限なし
10万円以上20万円未満のものは、どちらも選べます。その年に全額落としたいなら特例、償却資産税を避けたいなら一括償却資産、と使い分けます。
06手続きと2026年の変更
最後に、実務です。
特例を使うには、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に必要事項を記載し、明細を残します。会計ソフトを使えば、この処理は自動で行われます。記帳の基本は 帳簿のつけ方|複式簿記の基本、ソフトは 会計ソフトの選び方 で解説しています。
なお、この特例は対象金額が広がる見込みです。2026年3月末までの取得は30万円未満、2026年4月1日以後の取得は40万円未満が対象とされています。制度改正にかかわる部分なので、適用時は最新情報を国税庁で確認してください。
よくある質問
少額減価償却資産の特例とは何ですか?
青色申告をしている個人事業主が、取得価額30万円未満の資産を、取得した年に全額経費にできる特例です。本来は数年に分けて減価償却するものを、その年に一度で経費にできます。年間300万円までという上限があります。
白色申告でも使えますか?
使えません。この特例は青色申告をしている人だけが対象です。白色の場合は、10万円未満なら消耗品費、10万円以上20万円未満なら一括償却資産、それ以上は通常の減価償却で処理します。
上限はありますか?
1年あたり合計300万円までです。30万円未満の資産を複数買って合計が300万円を超えた場合、超えた分にはこの特例を使えません。事業期間が1年未満の年は、月割りで上限が計算されます。
中古品やソフトウェアも対象ですか?
対象になります。取得価額が30万円未満であれば、中古のパソコンや車、ソフトウェアや特許権などの無形資産も対象です。ただし、事業で使うものに限られ、私的に使うものは対象外です。
2026年から金額が変わると聞きました。
2026年3月末までの取得は30万円未満、2026年4月1日以後の取得は40万円未満が対象とされています。制度改正にかかわるため、適用の際は国税庁の最新情報を確認してください。
まとめ
少額減価償却資産の特例は、青色申告をしている個人事業主が、30万円未満の資産を取得年に全額経費にできる制度です。年間300万円までという上限があります。
似た制度の一括償却資産(20万円未満・3年均等・青白どちらも)とは、金額や償却方法が異なります。利益が出た年に設備を買うと大きな節税につながるので、青色申告とあわせて活用しましょう。金額の基準は改正が見込まれるため、最新情報を確認してください。
税務の最終的な判断は、国税庁の公式情報や、税務署・税理士への確認に従ってください。