経費にできないもの一覧
経費を漏れなく計上することは節税の基本です。ですが、「何でも経費にできる」わけではありません。
経費にできないものを計上すると、税務調査で否認され、追徴課税につながります。
この記事では、個人事業主が経費にできないものを、間違えやすい費目とともに整理します。経費にできるものの一覧は 個人事業主が経費にできるもの一覧 にまとめています。
01判断の軸は「事業に必要か」
まず、原則を確認します。
必要経費とは、その収入を得るために直接必要だった支出です。逆に言えば、事業と関係のない支出は経費になりません。
「事業のために必要だった」と説明できないものは、経費にしない。これが基本の線引きです。
02生活費(家事費)は経費にならない
いちばん基本の除外項目です。
自分や家族の生活のための支出は、家事費として経費になりません。
- 食費・日用品
- 家族の生活費
- プライベートな旅行・娯楽
- 私的な衣類
なお、家賃や光熱費のように事業と生活の両方にかかるものは「家事関連費」といい、事業で使う割合だけを按分して経費にできます。考え方は 家事按分とは|家賃・光熱費を経費にする で解説しています。
03所得税・住民税は経費にならない
税金の扱いは、ものによって分かれます。ここは混乱しやすい部分です。
- 経費にならない税金:所得税、住民税、相続税、国民健康保険料、国民年金保険料
- 経費になる税金(租税公課):事業税、固定資産税(事業分)、印紙税、自動車税(事業分)など
所得税と住民税は、事業の経費ではなく「所得に対してかかる税金」なので、経費にできません。なお、国民健康保険料や国民年金保険料は経費にはなりませんが、社会保険料控除として所得から差し引けます。
04所得控除と経費を混同しない
「経費にならない=節税できない」ではありません。ここが大事です。
次のものは経費にはできませんが、所得控除として所得から差し引けます。
- 小規模企業共済の掛金(節税のためにやるべきこと 参照)
- iDeCoの掛金
- 国民年金・国民健康保険料(社会保険料控除)
- 生命保険料・地震保険料
- ふるさと納税(寄附金控除)
- 医療費(医療費控除)
経費ではないけれど、所得を減らして節税できる。この区別を押さえておくと、申告で迷いません。
05罰金・事業主本人の費用
見落としやすい除外項目です。
- 交通反則金・罰金・過料:業務中の駐車違反であっても経費になりません
- 事業主本人の健康診断・人間ドック:経費になりません
- 事業主本人の生命保険料:経費ではなく生命保険料控除で処理します
- 事業主本人への給与:自分に給与は払えません(生活費に充てる分は事業主貸で処理)
事業主本人にかかる費用は、原則として経費にならないと覚えておきましょう。
06判断に迷う費目
グレーに見える費目も、原則で考えれば整理できます。
- スーツ・衣類:私服として使えるものは原則経費にならない(作業着・制服など事業専用のものは経費)
- 一人での飲食:打ち合わせでない場合は経費になりません(接待交際費の扱いと注意点)
- 資格取得費用:事業に直接必要な資格かどうかで判断が分かれる
- プライベートも使う車:使用割合で按分する
迷ったら「それが売上につながる説明ができるか」を考えます。説明できないものは、経費にしないのが安全です。
07記録で説明できるようにする
最後に、守りの話です。
経費にするなら、事業のための支出だと説明できる記録を残します。領収書に加えて、目的や相手先のメモを残しておけば、判断の根拠になります。記帳の基本は 帳簿のつけ方|複式簿記の基本 で解説しています。
グレーな支出を無理に押し込むより、使える経費と所得控除を正しく積み上げるほうが、結果的に有利です。
よくある質問
生活費は経費にできますか?
できません。食費や日用品、家族の生活費などは家事費として経費になりません。ただし、家賃や光熱費のように事業と生活の両方にかかるものは、事業で使う割合を按分すれば、その分を経費にできます。
所得税や住民税は経費になりますか?
なりません。所得に対してかかる税金のため、必要経費にできません。一方で、事業税・固定資産税(事業分)・印紙税などは租税公課として経費になります。
国民年金や国民健康保険料は経費ですか?
経費にはなりませんが、社会保険料控除として所得から差し引けます。経費と所得控除は別の枠組みです。小規模企業共済やiDeCoの掛金も、経費ではなく所得控除として扱います。
業務中の駐車違反の反則金は経費になりますか?
なりません。交通反則金・罰金・過料は、業務中に生じたものであっても経費にできません。
スーツは経費にできますか?
私服としても使えるスーツは、原則として経費になりません。一方、作業着や制服など、事業でしか使わないことが明らかな衣類は経費にできます。判断に迷う場合は、事業専用であることを説明できるかで考えます。
まとめ
経費にできないのは、事業と関係のない支出です。生活費、所得税・住民税、罰金、事業主本人の健康診断や保険料などが代表例です。
大切なのは、「経費にならない=節税できない」ではないという点です。小規模企業共済やiDeCo、国民年金、ふるさと納税、医療費などは、経費ではなく所得控除として所得を減らせます。グレーな支出を無理に押し込まず、使える経費と控除を正しく積み上げましょう。
税務の最終的な判断は、国税庁の公式情報や、税務署・税理士への確認に従ってください。